事 後 報 告

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2014年大晦日。渋谷の焼肉。私を許さない女。

2014年の大晦日は友人と会っていた。

ふつうの人は家族と一緒に過ごすから、大晦日の渋谷はとても静かで、寂しくて少し臭い街だった。センター通りだけはお祭りムードで、自撮り棒を持った女の子グループと忘年会をハシゴ中のサラリーマンでごった返していた。それとたまに外国人観光客。年末に東洋の島国にわざわざ来てカウントダウンなんてかわいそう、と外国人観光客をぼんやり哀れんでいたら、知らないサラリーマンに「女子高生?女子校生?」と声をかけられた。すぐに友人が「これ新手のナンパだから行こう」と注意してくれて、手をつないで一緒に逃げた。アラサーをJK扱いなんてバカにしていると怒る友人(美人)に、一瞬まんざらでもないと思った自分を恥じた。

家族と一緒に過ごす理由がなくなったので、2014年の大晦日は大好きな友達と焼肉に行くことにした。年末〆に間に合わなかった仕事の空き時間を使っての ささやかな密会。

お気に入りの焼肉屋は2人用カウンター席が充実していて、普段は性欲が強そうなカップルで混んでいるのに、大晦日だけはがら空きだった。普通の人は家族と一緒に年越し蕎麦を食べているんだろうな。普通になれない私たちは、季節を問わずして肉ばかり食べている。新宿はホルモン、大久保はサムギョプサル、恵比寿は肉寿司。欲望が強いから、いきなり冷麺だって注文しちゃう。渋谷の焼肉屋はサイドメニューが美味しい。

12月は3人の女から、私という女の存在が許せないと言われた。
そのうち1人は、私がいわゆる主婦らしい生活をしていないのが許せないそうで、普通の主婦がやらないことの1つがペニスマスイベントで、

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キリスト教を冒瀆していると思われたのか、主婦が新宿二丁目に深夜まで居ることが普通じゃないのか、ペニスだから駄目なのか、要素が多すぎていったい何が普通じゃないのかわからないのが最悪だった。私が私だから悪いのだろうか。

ふつうの主婦はそんなことはしない、と飛影はそんなこと言わないのいったい何が違うんだろう。

私は私のやりたい事をしているだけで、それがあなたの正義を揺さぶるのはなぜなのか。あなたの正義は、抑圧されている自分を正当化したいだけではないのか。そもそもの悪は、あなたを抑圧しているその男なのでは…と暴論が喉まで出かかった。

でも彼女のことは好きだった。だから彼女がその男を愛していることに嫉妬した。その男どもが、私を許さない理由なのでしょう。

彼女の愛読書はPHP文庫で「辛いときにこの本を読むと元気になれるの」と真顔で言っていた。私にも同じ苦しみを味わって欲しかったのだと思う。私を哀れんで、泣きながら抱きしめられた時に耳元で「耐えなさい」とささやかれて、ぞっとした。この人の娘になれて嬉しいと思ったけれど、私は奴隷にはなれない。

どうして彼女たちが言う普通になれないのか自分でもわからない。何が駄目なのか、解らないのが駄目なんだと思う。普通じゃないことで誰かを不快にして殴られるのだったら、それはそれで仕方ないと思っていた。でも増田ぴろよという作家名の時は許してはいけない暴力があった。

そんな時期に縁あって担当することになったワンダフルワールドエンド公式グッズ さよなら、男ども。私が私のために、仕事は手放してはいけないと強く思った。

 

私が私のために。私は私私私私ばかりで、やりたいことを絶対に手放さない私をみて、彼女がぽつりと「これはもう駄目かもしれんね」と一言。日航機事故の機長の最後の言葉とほぼ同じ台詞。

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どうしたら彼女の正義を傷つけなかったのか今でもわからない。

 

そんなとりとめのない愚痴を友達はうんうんと聞いてくれて、焼肉を過食した。冷麺とリゾットも食べた。

生還といえば…と友人が教えてくれた話題がICECREAMのナコは実は生きているというお話。あまりの生命力に笑った。

私たちも生還しようと誓った。

 

あと数時間後には2015年が始まるね、今の私にはハッピーなニューイヤーの空気は耐えられないよと落ち込んでいると、友人がとっても中2な提案をしてくれた。「カウントダウンが始まったら一緒に目をつぶろう。同じ暗闇の中で会おうよ。」

 

私たちの孤独のために歌ってくれているような大森靖子ちゃんのカウントダウンライブは素晴らしくて、優しい孤独を持ち寄った彼彼女たちの群れの中にいた。2014年→2015年のカウントダウンがはじまり、そっと目を閉じる。暗闇はあたたかい。ポケットに手を入れると渋谷の焼肉屋でもらったカイロが熱くなっていた。
新年を祝うクラッカーの硝煙は焼けた肉の臭いがした。2015年が始まる。